現在の水処理の制御技術は、pH計、ORP計(酸化・還元電位計)、DO計(溶存酸素計)、イオン電極、電導度計など、センサー(電極)を液中に浸漬させる方法が大部分で、UV計(紫外線吸光光度によるCOD測定)やTOC計(全有機炭素計)などの方式は稀である。汚染排水処理の場合、懸濁物が存在するスラリ―などは、電極を汚すのでそのメンテナンスや標準液による補正作業など面倒である。

新しい硫化物法の硫化剤添加制御技術の開発を考えた時、その分野の研究者・技術者はORP制御で解決しようとするのが通常手段と思われたが、私はORP制御のシアン処理(アルカリ塩素法)、6価クロムの還元処理などの分野で、ORP計をさんざん使用してきた経験から、ORPはおおざっぱに反応の状態を把握できるが、精密な制御は無理であると思っていた。もしORP計で制御できるなら、とっくにORP制御硫化物法は世界に普及していたはずと判断した。

回分式NS法の概略処理フロー図

大雑把な説明になりますが、18mLの水が蒸発し気体になると22,400mLの体積を占める。 22,400/18=1,444倍になります。液中の残留する僅かなイオウもガス化すると、同じような事が起こります。電子産業の進歩で、高感度なガスセンサーが手に入る時代になっております。
ちなみに、硫化水素ガスセンサーの測定スパンは0~50ppmです。工業化されたNS法では反応液中の残留イオウイオン濃度が0.1mg/L変化しても数ppmの硫化水素が発生するので硫水素モニターの信号をフィルドバックさせ、硫化剤添加制御を行えば硫化水素の発生もコロイド化も防止できます。

液中反応をガスセンサーで制御する技術は他の分野でも工業化しております。
(1)微生物による脱窒素反応のメタノール添加制御
(2)不連続点塩素添加法(アンモニア排水処理法の一つ)次亜塩素添加制御

 

この方式は排水処理分野でなくあらゆる分野で適用できると考えております。もしそのようなニーズがあれば相談にのります。